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野風増(のふうぞ)

平成28年2月13日(土)
久しぶりにデュークエイセスのアルバムを聴いていたら、リーダーのバリトン谷道夫がメインで歌う「野風増」に惹かれた。この曲は亡き河島英五が歌って広く知られるようになっているが、元は作曲家山本寛之がリリースしたもので堀内孝雄、出門英(懐かしい)、財津一郎、橋幸夫、レオナルド熊、芹沢博文など多くの人がCDを出している。谷道夫の深みのある声と歌い方は、歌詞のちょっと気恥ずかしいところを補ってピッタリしている。
「のふうぞ」とは岡山の方言で生意気とかつっぱるという意味だそうであるが、自分はこの言葉を聞いたことがないので同じ県でも地域によって違うのだろう。「野風増の会」というのが東京と岡山にあり、母校の医学部教授も参加して毎年新年会・親睦旅行が行われているらしい。
お前が20才になったら 酒場で二人で飲みたいものだ
ぶっかき氷に焼酎入れて つまみはスルメかエイのひれ
お前が20才になったら 想い出話で飲みたいものだ
したたか飲んでダミ声上げて お前の20才を祝うのさ
いいか男は 生意気ぐらいが丁度いい
いいか男は 大きな夢を持て
野風増 野風増 男は夢を持て…!

謹賀新年(平成28年)

平成28年1月4日(月)
明けましておめでとうございます。
毎年、4日より診療開始することにしているが今年はたまたま月曜日なのできりがいい。ただし、同じビルにある内科は明日から、耳鼻科はあさってから開始のようである。
元旦にはお屠蘇と雑煮、このところおせちを取り寄せているが家族の評判はいまいちである。それでもめげずに今年は今までで一番よかった「古串屋」から取り寄せた。ここのおせちは日本酒に合うのがいい。護国神社まで歩いて初詣、喪中のため年賀状は少なかったけれど、礼を失さないように返信を確認する数が少ないのは結構楽だと思った次第である。夜は長女一家と一瞬帰っていた長男と自宅で鍋を囲む。今年も平穏な一年であればいいと思ったことである。

仕事納めの日

平成27年12月28日(月)
今日は今年最後の診療日、他の産婦人科クリニックは半分くらいは休みに入っているようだが、当院は例年どおり今日までである。今年一年間、診療に関して特に問題なく終えられたのはありがたいことである。ここ数年は新患が増えていて、ネットを見てこられる人と口コミで来られる人が大半なのはネット社会を反映しているのだろう。患者さんの負担をなるべく少なくし、何度も通わなくてすむようにしているのは開業当初から変わらない当クリニックの方針であるが、18年間この方針が貫いてこれたのは本当によかった。今後もこのままでやって行きたい。
今年は郷里の父が診療開始日の1月5日に他界し、父の飼っていたぶさいく犬「福太郎」を引き取ったけれど6月に後を追うように死んだ。昨日郷里で父の一周忌の法要をおこなったが、墓地の片隅に埋めてやっている「福太郎」も今頃はあの世で父母と一緒にいることだろう。

冬らしくなった

平成27年12月18日(金)
12月になっても暖かい日が続き、自転車通勤の防寒対策は例年になく軽めだったが、今週に入ってやっと冬らしくなった。久しぶりに薄めのダウンのコートを着て自転車に乗ったが、まだ最強の服装ではない。最も寒い日は厚手のダウンジャケットにスキー用の手袋、マフラーに帽子であるが、昨年はそんな日は数えるほどしかなかった。今年は暖冬のようなので最重装備は必要ないかもしれない。
昨年の今頃は英語の特訓連続30日というのをやっていたので、寒い中暮れも正月もなく毎日クリニックに通って課題を解いていたが、今になって振り返ってみると英語力はちっともついていないようである。やはり実践で鍛えないとダメなことがよく分かった。でもこの年になって一時的にとはいえ結構熱中できたのは、楽しかったしいい経験になったと思う。
アシスト自転車で通勤を始めて6年を過ぎた。パナソニックの自転車は頑丈に作られているので調子がいいのだが、以前雨の日に滑って自転車が横倒しになった時、スポークが2本折れていたのを気づかずに乗っていたため、後輪が少しよれているようである。とりあえず修理してもらうことにしたが、そろそろ買い替えかなと思っている。

日本語の特異性

平成27年12月11日(金)
「ことば」は人類に特有のものであるが、それが脳の中でどのように成り立ってきたのかは、興味深いことである。養老孟司氏の脳に関する一連の著書を読むと、難しいのだけれどわかりやすく解説しておられるので、なんとなくわかった気持ちになるのが不思議である。視覚からの情報と聴覚からの情報を統合させる脳の分野に言語が発生するが、視覚は絵画の、聴覚は音楽の領域にある。漢字は象形文字からできたもので絵画の領域に属するが、平仮名はアルファベットと同じ領域に属していて、日本語は両方同時に働かせることによって成立する世界でも珍しい言葉である。
他の国の言葉は聴覚の領域がメインで、聞いて話す、話して聞く、の繰り返しで成立していくが、日本語は漢字という準絵画を使うことによって読む(視覚)ことが話すこと以上に重要になっている。そして漢字の読み方には音読み、訓読みなど何通りもの読み方があり、それらを習得しなければ日本語を読むことができない。昔から「読み書きそろばん」と言われていたのはそのことを象徴している。日本では漫画がよく読まれているが、吹き出しの部分がすべて平仮名であったらこれほど普及していただろうか。日本の漫画は日本語の音訓読みを利用したものであるというのは納得できる。脳の働きは実に不思議であり汲めども尽きせぬ面白さがある。

¥1円の古本

平成27年12月4日(金)
突然、半村良の「妖星伝」を読みたくなったので家の書棚を探してみたが、全6巻(後で第7巻が追加された)揃えていたはずなのに第1巻しか見当たらない。そうなると第2巻以降をいっそう読みたくなりブックオフで探してみた。20年~30年前頃ベストセラー作家だった半村良の作品は当時、本屋の文庫本の棚に一杯並んでいたが、今では古本屋でも探すことが難しいことがわかった。アカデミー書店他、数か所回ってみたけれどせいぜい1冊ぐらいしかなかった。ついでに西村寿行、高木彬光の本も探してみたがほとんどなかった。確か西村寿行は作家の長者番付で1位になったぐらいの流行作家だったはずである。
アマゾンで調べてみると、古書で出ているので注文してみた。なんと!1冊1円で出品されていた(中には91円というのもあった)が、信じられない値段である。ただし送料が257円かかるという。月曜日に注文したら木曜日には1冊だけは届いた。トレッシングペーパーのカバーがかけてあり、出品者「いちょう企画」の仕事には好感が持てた。それにしても便利になったものであるが、流行作家の賞味期間はなんと短いことかと思ったことである。

産婦人科同門会

平成27年11月13日(金)
毎年恒例のわが母校、岡山大学産婦人科教室広島支部同門会が平松教授臨席のもと、メルパルク広島で行われた。昨年はシェラトンホテルで行ったのだが、予算不足のため今年はメルパルクにしたのである。現在、同門会の人数は29人、うち21人の出席であった。24年前、中電病院に赴任した頃はもっと同門の人数が多く、会合の場所も今はなき料亭「新月」で豪華に行われていた。毎年配られる名簿は入局順になっていて当時、自分の位置は大体下から3分の1ぐらいのところだった。現在の位置は24年たっているのにまだ真ん中よりわずかに下である。これは新しい人が入らないのと先輩の人たちがお元気だということであるが、平均年齢はかなり高くなっていると思われる。
どの組織でも同じだと思うが、新しい人が入らないと組織は衰退して行く。産婦人科医、特にお産をする医師が減っている現状では仕方ないことかもしれないが、このままでは全国的にお産難民が増えて行くだろう。

アルコール中止

平成27年11月6日(金)
アルコールに弱いくせに好きで、だらだらと飲むことが多かったが、とうとう飲めなくなった。先週、木金と飲みがあり土曜日に偶々いい肉があったので家ですき焼きをして旨かったのでつい食べ過ぎてしまった。翌日から胃部不快感でなにも欲しくない。アルコールは厳禁である。すぐに治るかと思ったが今回はなかなか回復しない。なのに火曜日は休日だったので久しぶりに「梅の葉」で取れたてのイカをビールで堪能してしまった。少し回復してきていたのがまたもダメになった。水曜日から昼は「讃岐屋」でうどん、夜は湯豆腐などの鍋物のみ。体重が減るかと思ったがほとんど変わらず。いずれにしてもアルコールは自分には向いていないのだと思う。アルコールのほとんどない生活に戻るのがいいかもしれない。

「そば」について

平成27年10月9日(金)
「そば」についてのエッセイでは池波正太郎氏の作品が知られているが、氏は店が込み合っていない午後に行きつけの蕎麦屋にふらりと入り、軽いつまみで酒を1~2合飲み、もりそばをたぐってさっと引き上げる、というようなふるまいを書いている。私も「そば」は好きなのでちょくちょく食べに行くが、よく行くのは「はっぴ」と「そば切り吟」である。どちらも「そば」がすばらしく、つゆもそれぞれ微妙に異なるが美味しく甲乙つけがたい味である。つまみも品数は少ないがビール、日本酒に合うものを用意していて好きである。「つまみ」の種類とおいしさではそごうに出店している「藪そば」がいい。ここのかき揚げとだし巻きは、さすが日本の名店だと思わせる味である。
「そば」そのものでは高橋邦弘名人の「雪花山房」が素晴らしかったが、残念ながら今年の5月に閉店したそうである。高橋氏は今もそば打ちの指導に全国を回っているらしい。拠点を大分県に移すといううわさもあるが真相はわからない。最近宮島に高橋名人系列の「翁」ができたそうである。ぜひ行ってみたいと思っている。

開院18周年!

平成27年9月10日(木)
このささやかなクリニックを開いたのは18年前の今日である。開院した当初はすべてが初めてのことで不安と試行錯誤の連続であった。10年位経ったころから診療についてはあまり困ることはなくなったけれど、いつも何か心配するようなことはあった。それでも周囲の人たちのおかげで今日まで無事にやってこられたのは本当にうれしいことである。18年というとずいぶん長いようであるが、実際の感覚としては5~6年ぐらいであろうか。だから自分ではそんなに年を取ったとは思わないけれど、外から見れば確実に歳を重ねているのだろう。今日は気持ちのいい秋の日である。毎年、9月10日を迎える度にこの季節に開院してよかったと思う。