令和2年8月7日
最近体重が過去最高に近い状態になっている。かつて30歳の頃、小豆島の病院に大学より派遣されて2年間勤務したが、この時が生涯で最も体重が増していた。なにしろ赴任していた町立病院の産婦人科医師は自分一人なので、休日も島からは出られずストレスが貯まる上に遊ぶ場所もない。他の医師たちは休日は本土へ遊びに行くが、いつお産があるかわからないので出かけられない。島内の観光場所などは1ヶ月もあれば行き尽きてしまう。わずかに夕方から病院内の有志でするテニスぐらいが気晴らしだったが、その後の酒盛りでかえってカロリーの取り過ぎになる。岡山市内への転勤が決まった時にはあわててダイエットをしたものである。太り過ぎはカッコ悪いではないか。この時は1か月ちょっとで10kg減らした。
今回のコロナ太り(本当はコロナとは関係なく単なる食べ過ぎ)にはさすがに困っているが、若い時に比べてモチベーションが湧かないのは困りものである。ダイエットをしなければと思いながら今日も美味しく晩酌をしている、嗚呼。
カテゴリー 日々是好日
コロナ太り
梅雨明け
令和2年7月31日
やっと梅雨明け宣言が出された。といっても関西と東日本はまだだが、ことしの梅雨は本当に長かった。コロナ騒ぎと重なって気持ちの晴れない、落ち着かない日々が続いていた。今日は一転して快晴、強い日差しが肌に刺さる。これからは猛暑が続くというがコロナも一緒に吹き飛ばしてしまえばいいのに。コロナは第1波に比べて第2波は症状も比較的軽い人が多いようで、無症状の人もそれ以上に多いようである。このウイルスは変異が早いのでヒトと折り合うように変化しているのかもしれない。それなら普通のコロナウイルスに準じた扱いでいいことになるのではないか。欧米、特にアメリカ大陸の感染の様子を見ると大変なようだが、なぜか我が国では重症化・死亡の数が少ない。これは人種の違いなのか他に理由があるのか、今の状態を見るとコロナはかなり市中に広がっていて、感染していないか感染しかけて跳ね返しているかわからないが、経済に大打撃を与えるほど警戒しなければならないウイルスではないのではないか。
私の信頼する日垣隆氏はこの騒ぎを今までの、今もある様々な感染症の状態(インフルエンザの感染者は400万人を下回ったことはなく、死者ではマラリアがコロナをまだ上回っている)と比較して過大な警戒に警鐘を鳴らしている。やはりスエーデンのように、コロナ(スエーデンでは死者の90%が70歳以上である)との共存政策を取るのがいいのではないだろうか。理由は①感染の広がりはウイルスの都合であること②各国の努力はあまり機能していない(マスク・消毒・引きこもり)③ウイルスとヒトは必ず共存するからである。
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閑谷学校
令和2年7月27日
連休(と言っても土曜日は診療していたが)に友人夫婦と特別史跡閑谷(しずたに)学校を訪れた。閑谷学校は岡山県備前市にあり、1670年に岡山藩主池田光政によって創建された世界最古(?)の庶民のための公立学校で、備前平野の閑静な山裾にひっそり建つ日本遺産でもある。広い敷地に国宝の講堂をはじめ、学房、聖廟、神社などの建物があり、周囲を300年経っても変わらない精緻に造られた石塀が取り囲んでいる。隣には椿山があり池田光政公が祀られていて、手前には青少年教育センターも併設されている。
実はこの施設を学生時代使用したことがあったのだが、50年近く前とほとんど変わらぬ佇まいに感嘆したことである。大学男声合唱団の夏の合宿で滞在は1週間ぐらいだったと思うが、昔はこんな風にしていたのかという貴重な体験だった。周囲に何もないので気が散らないし、大きな声を出しても迷惑にならない。その分、1週間も経つともやもやして来て街の明かりが恋しくなってくる。昔の人はこれも鍛練と思って勉学に励んだのだろう。夏は涼しいが冬はさぞ寒かったことと思う。久しぶりにいいものを見せてもらった。
梅雨の晴れ間
令和2年7月17日
九州から中国地方にかけての豪雨が去り、久しぶりの好天である。梅雨明けというのか梅雨の晴れ間というのか、いずれにしても晴れた日は気分が良い。「梅雨の晴れ間」という言葉が好きなのは、大学時代に男声合唱団で同名の曲を歌っていたからである。
「梅雨の晴れ間」は北原白秋が26歳の時に著した第2詩集「思い出」の末尾に「柳川風俗詩」として48の詩編がありその中の1編である。白秋の生家は江戸時代から続く商家だったが、大火により酒蔵が全焼し没落した。現在、柳川市に「北原白秋記念館、北原白秋生家」として保存されていて先年訪れたが、かつての富商家の様子がしのばれてしみじみしたものを感じた。
「梅雨の晴れ間」という詩を覚えているのも、故多田武彦氏が作曲し男声合唱曲としてずっと歌い続けられてきたからである。詩と音楽の分野で感性の優れた人同士の作品は、時を超えて歌い継がれるものなのだろう。
「梅雨の晴れ間」
廻せ 廻せ 水ぐるま けふの午(ひる)から忠信が 隈取赤いしゃっ面に
足どりかろく 手もかろく 狐六法踏みゆかむ 花道の下水ぐるま…
廻せ 廻せ 水ぐるま 雨に濡れたる古むしろ 円天井のその屋根に
青い空透き日光の 七宝のごときらきらと 化粧部屋にも笑ふなり
廻せ 廻せ 水ぐるま 梅雨の晴れ間の一日を せめて楽しく浮かれよと
廻り舞台も滑るなり 水を汲み出せ その下の葱の畑のたまり水
廻せ 廻せ 水ぐるま だんだら幕の黒と赤 すこしかかげてなつかしく
旅の女形もさし覗く 水を汲み出せ 平土間の田舎芝居の韮畑
廻せ 廻せ 水ぐるま はやも昼から忠信が 紅隈とったしゃっ面に
足どりかろく手もかろく 狐六法踏みゆかむ 花道の下水ぐるま
好みが変わった?
令和2年7月3日
昔から鮨が好きで、和食中心の店や居酒屋の料理をあてにビール、日本酒、焼酎などを飲んできた。もちろんアルコールに弱いので少ない量で十分満足しているが。ウヰスキーは好きだけれどどういうわけかワインにはあまり親和性がなかった。付き合いで飲む程度で、あまり積極的には飲んでいなかった。ところがこのコロナ騒ぎで居酒屋が閉まる、鮨屋が閉まるなどで、好きな店に行けなくなり家飲みするようになり、色々な店のテイクアウトを試すことになった。その中にはワインに合う料理も多くて、適当にワインを合わせてみるとイケるではないか。それからは肉料理の時は赤ワイン、その他白ワインも飲むようになった。かつてほとんど興味がなかったイタリア料理店などにも行くようになったが、本当に美味しく感じるようになったのはなぜだろう。この年になって好みが変わるなんて信じられないが事実だから仕方がない。もちろん和食、居酒屋の類がメインではあるがワインに合う料理が無性に食べたくなる。通販で質のいいワインが結構安く手に入るので、いろいろ試してみるつもりだ。それにしてもなぜ好みが変わった(増えた?)のだろう。
メスがオスを選ぶ
令和2年6月19日
新聞を見ていたら、動物行動学研究者でエッセイストの竹内久美子氏の興味深い話があったので紹介する。
生物は「生存すること」と「繁殖する」ことが大きなテーマであり、「繁殖」に関してどのように相手を選ぶかは重要なことである。ツバメのオスの尾羽の長さを、切り取りと接着剤で変えた3種類のオスが、メスとつがいになる日数を調べた。尾羽の長いグループはその日のうちか2~3日で、普通の長さのオスは1週間くらいで、短いグループは2週間かかったという。さらに浮気に成功するのは尾羽の長いオスのみで、メスのダンナが尾羽の長いオスなら浮気に応じないけれど、ダンナが普通の長さなら数回に1回、ダンナの尾羽が短ければ尾羽の長いオスがくれば必ず浮気をすることがわかった。そして実際に尾羽の長いオスのヒナは免疫力が高いこともわかった。尾羽の長いオスがモテる所以である。
人間の男の場合、免疫力の証となるのが声の魅力、顔がいい、筋肉質の体、ケンカの強さ、IQの高さであり、ツバメでも人間でもオスの魅力が問題で、メスがあまり関係ないのは「メスがオスを選ぶ」のが基本であるからだ。
メスは一度の繁殖にかかる労力も拘束時間もオスよりも大きいのでそれなら選ばせてもらいますというわけだ。まさに「男はつらいよ」である。
入梅はしたけれど
令和2年6月12日
今週から全国各地で梅雨入り宣言が出されている。広島も先日梅雨入りした。例年ならこの時期に稲荷さんで若い女性の浴衣姿が街にあふれるのに、今年はゆかた祭りも見送りになっている。本通りも人は増えてきたけれど皆マスクをつけていて、マスクなしでは歩けない雰囲気になっている。ウイルスは口や鼻からだけではなく目からも入るので、メガネかフェイスシールドをしなければ効果は半減するというのに。いずれにせよ先行きは不透明で、毎年梅雨入りの頃に感じる四季の変化を楽しむ余裕がないのがつらいところだ。
気分転換に、作曲家神津善行氏がゴルフ雑誌に連載している随筆に書いているジャズトランペット奏者日野皓正氏からのメールを転載する。日野氏は現在ニューヨーク在住で武漢コロナのため身動きがとれず、退屈しのぎに文章を考えたらしい。「まず次の文章を読んでください。」
しあわせになりたいの。/ 嫌よ!あなたと別々に ?/ なんて…そんなの私 /? じゃないから…一生 / 私の愛する人はあなた / だから…お願いよ!
「この文面を後ろの行から読むと面白くなると思います。」とあったという。退屈しのぎになるかな。
受診抑制
令和2年6月6日
武漢コロナウイルス騒ぎも落ち着いてきているが、当院の印象では3月までよりも4月以降の新患数が減っている。6月になって緊急事態宣言もなくなり飲食店なども再開しているところがほとんどになったけれど、まだまだ油断しないという人々の姿勢を感じる。おそらくこの流れは夏まで続くだろうが、不要不急の受診を控え患者さんの激減した医療機関も多いという。もしそうなったのなら不要不急の診療が多かったということになる。検診などはほとんどなくなっていたが、これこそ不要不急の最たるものだろう。厚労省もこれを機会に職場への健診しなさいという通達をなくすべきだ。そしてその医療資源を治療と介護にまわせば充実した医療・介護体制ができる。職場の健康診断を義務付けている国は日本だけだし、健康診断によって寿命が延びたという証拠はないのだから。
当院の患者さんの数は20年間あまり変わらないけれど、流れとしては多少の増減があるので今回の新患数の減りがコロナのせいかどうかはわからない。どうであれいつもと変わらず一人ひとり丁寧に診療していくだけである。
(続)WEB講演会
令和2年5月29日
武漢コロナウイルス騒ぎのために講演会、学会、勉強会などすべてなくなって久しい。年一度の日本産婦人科学会はWEB学会で無事に終わったが、ほかの小規模の会はWEBにするほどでもないのか相変わらず開催が見送られている。最近、いろいろな製薬会社がWEB講演の配信を始めているのはありがたいことである。以前から少しはあったのだが、やはり会場に赴いて直に聞いた方がよいのでWEB講演はスルーしていたけれど、このご時世では役に立つありがたい方法である。どの業界でもそうだろうが、常に新しい発見や流れを見て自分の仕事を見直したりそのまま進んでいったりするものである。医学も同様に、新しい診断法や薬・治療法、新たな知見などが常にあるので、アンテナを張っておかないと取り残される。実際の講演会がなくなっても、WEB講演の配信があれば遅れをとることはないので安心である。武漢コロナウイルス騒ぎが治まっても、WEB講演配信は残ると思うし、一層増やしてほしい。実際の講演会は特別なものを除いてなくすか、親睦会だけにするのがいいのではないだろうか。
懐かしい映像
令和2年5月22日
コロナ騒ぎのおかげでYou-Tubeを見る機会が増えた。最近ハマっているのは吉田拓郎の映像と歌である。高校時代から大学時代にかけて熱心に聞き、自分でもギターを弾いて歌っていた。「旅の宿」「結婚しようよ」「マークⅡ」「おやじの歌」「今日までそして明日から」などはコピーして弾いて歌ったものだ。吉田拓郎の曲はほとんど全部聴いていたし、楽譜もそろえていた。人気が陰り始めてからは、雌伏の時があったようだが心境の変化があったのか、再び我々オールドファンの前に表れるようになった。それらの映像をYou-Tubeで見ることができるのは実にありがたい。広島時代の思い出の場所を中村雅俊と一緒に巡る旅の放送も見ることができた。
はしだのりひこの「沈黙」という歌が一瞬ラジオの深夜放送で流れたことがあり、いい曲だなと気にいっていたがヒットしなかった。でも妙に覚えていてまた聞いてみたいものだと思ってネットで調べたがみつからなかった。最近、誰かが「沈黙」をアップしてくれたので聞くことができた。覚えていたイメージとは少し違っていたが懐かしいものだった。You-Tubeは実に便利でかつてなら「沈黙」を聴くためには、古いレコードを置いている店を回って探さなければならなかったのが、簡単に見つかりすぐに聴ける。ネットのない世界は考えられなくなったが、わずか30年ぐらいのことで驚くしかない。