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仕事納めの日

平成27年12月28日(月)
今日は今年最後の診療日、他の産婦人科クリニックは半分くらいは休みに入っているようだが、当院は例年どおり今日までである。今年一年間、診療に関して特に問題なく終えられたのはありがたいことである。ここ数年は新患が増えていて、ネットを見てこられる人と口コミで来られる人が大半なのはネット社会を反映しているのだろう。患者さんの負担をなるべく少なくし、何度も通わなくてすむようにしているのは開業当初から変わらない当クリニックの方針であるが、18年間この方針が貫いてこれたのは本当によかった。今後もこのままでやって行きたい。
今年は郷里の父が診療開始日の1月5日に他界し、父の飼っていたぶさいく犬「福太郎」を引き取ったけれど6月に後を追うように死んだ。昨日郷里で父の一周忌の法要をおこなったが、墓地の片隅に埋めてやっている「福太郎」も今頃はあの世で父母と一緒にいることだろう。

超音波検査は聴診器のようなもの

平成27年12月24日(木)
朝、クリニックに到着したらスタッフから「超音波の画面が出ません」とのこと。すぐに調べてみたら本体のスイッチはオンになっているのにモニター画面にはなにも映っていない。これは大変だと調べてみたがわからない。産婦人科にとっての経膣超音波検査はかつての内科の聴診器のようなもので、なくてはならぬものになっている。超音波検査自体は他の科でも行われているが、重要度が産婦人科で特に増したのは経膣超音波検査ができるようになってからである。腹壁から調べる場合は、超音波の減衰が大きいため細かいことはわかりにくいが経膣エコーなら子宮・卵巣は細かいところまでわかる。特に妊娠初期の胎児の状態は侵襲のない経膣超音波検査に勝るものはないといっていい。
以前にも書いたが、かつては内診技術は産婦人科医の最も大切な習得すべきもので、まさに職人芸といううべき先人たちの技術が受け継がれてきたのである。それが経膣エコーのおかげで誰にでも当時の名人芸をしのぐほどわかるようになったのは、まさに革命といってもいいのではないだろうか。そのエコーの画面が映らないとは!幸い電源スイッチのオン・オフで事なきを得たが、早速エコーを増設すべく検討することにした。

開院18周年!

平成27年9月10日(木)
このささやかなクリニックを開いたのは18年前の今日である。開院した当初はすべてが初めてのことで不安と試行錯誤の連続であった。10年位経ったころから診療についてはあまり困ることはなくなったけれど、いつも何か心配するようなことはあった。それでも周囲の人たちのおかげで今日まで無事にやってこられたのは本当にうれしいことである。18年というとずいぶん長いようであるが、実際の感覚としては5~6年ぐらいであろうか。だから自分ではそんなに年を取ったとは思わないけれど、外から見れば確実に歳を重ねているのだろう。今日は気持ちのいい秋の日である。毎年、9月10日を迎える度にこの季節に開院してよかったと思う。

パソコンの不具合

平成27年8月7日(金)
先週の土曜日から突然メールができなくなった。理由はわからないがOutlookをはじめマイクロソフトの製品がすべて未承認になってしまったのである。当然ワードも使えない。まだ買って1年あまりのパソコンである。すぐにサポートに連絡し点検してもらったところ、システムに問題があるので全部の入れ替えが必要だとのことである。ウイルスの感染ではないらしい。緊急避難でウエブメールが使えるようにしてもらったが、メールの確認と返信ができるだけでアドレス帳は使えない。あたりまえのように使っていたパソコンであるが、いつの間にかなくてはならないものになってしまっていたのである。
パソコンが使われるようになってまだわずかの歴史しかないが、世界中に広がり今やパソコンなしでは何もできなくなっている。アナログの部分を残しておかなければとんでもないことになるだろう。それにしても困ったことである。

ピルにまつわる話

平成27年7月30日(木)
わが国で低用量ピルが解禁されてもう17年になる。ピル解禁以前は生理痛に対しては対症療法の鎮痛剤しかなく、月経過多に対しては有効な方法はなかった。ピルはその両方に対して最も有効であり、避妊はほぼ完ぺきである。私自身、ピルが日本で解禁される前に、臨床治験にかかわっていたのでその効果と安全性については確認していたので、解禁後は患者さんに積極的にピルを薦めてきた。そのため当院でのピルの処方はかなりの数になっている。ピルを認可した当初、厚労省は副作用の防止のために3か月ごとに検査するよう勧めていたが、これは認可して何か起きた時の責任逃れのための奨励であり、患者さんの負担を増やすにすぎないと思っていたので、一切無駄な検査はしなかった。その後、1年に一回検査でいいと言い出したがあたりまえである。自分としては患者さんの負担をできるだけ少なくするよう一人ひとり考えて行っている。
ピルは必ず自分で製剤の種類、枚数を確認してから出すようにしているが、先日何年も内服している人から「ピルが切り貼りしてホッチキスで止めてある」という連絡がありすぐに持ってきてもらった。見ると、1週間ごと3列あるピルの1列が切り取られ、同じ種類のやはり切り取られたピルがホッチキスで止めてある。当院でこんなことはあり得ないのでその旨話したが、本人は覚えがないという。ピルを処方して17年、こんな悔しい思いをしたことはない。なによりそんなことをして渡したのかと思われたことが屈辱である。当分怒りは収まりそうにないが、長くやっていればこんなこともあるのだろう。

休日当番医

平成26年8月24日(日)
今日は休日当番医として午前9時から夕方6時まで診療を行う。産婦人科の当番医は広島市全体で1施設ずつ順番に、およそ6か月ごとに回ってくる。患者さんの数は平均して10数人、他の科と比べてもっとも少ない。受診頻度の多い妊婦さんはお産をする施設に行くのでこれぐらいですむのだろう。緊急を要する患者さんもおられるので当番医制度は必要だと思うが、実際に病院に搬送するケースは少ない。
数が少なくても当番医には昼休みがないので、いつもはセブンで弁当を買って行くことにしている。今回は入れ替え前で弁当がほとんどなかったので一瞬の合間にアンデルセンへ仕入れに行った。なにしろ徒歩30秒の距離なので5分もあれば行ってくることができる。アンデルセンの弁当もなかなかのものであった。これからも時々利用しよう。次回の当番は2月ごろになると思われる。

広島市の産婦人科救急医療

平成26年7月18日(金)
自分のところのような病床を持たないクリニックで緊急を要する患者さんを認めた場合、ウイークデイの午前中なら入院・手術のできる近くの病院に連絡して診てもらうことはよくあることである。問題は、夕方や土曜日である。特に土曜日は病院の外来は休みのところが多く、医師の人数も少なくなっていて、どの病院に頼もうかと悩む。
広島市内には新生児ICUのある総合病院が4施設、手術を含めて受け入れ可能な病院が5施設、お産のできる病院・医院が13施設、入院のない外来のみの医院が30施設ある。わが医院もこの30施設の一つであり、とりあえず入院して様子を見るというわけにいかないので、はじめの悩みになるわけである。
妊娠に関しては夜中とか休日に問題になるような症状が起きたら困るので、早めに紹介するようになる。そうやって注意していても予期せぬことが起きるので救急を受け入れてくれる施設は貴重である。勤務医の頃は受け入れる側だったので、その大変さもわかっていて安易に紹介しないようにしてはいるが、紹介しようかどうしようかと苦慮することも多い。それでも、いつも快く受け入れてもらっているのはありがたいことである。

平成25年をふり返って

平成25年12月27日(金)
今年もあと1日、土曜日で診療終了になるのでこの1年のクリニックをふり返ってみた。
新患の人数は1年でほぼ千人でこれは開業以来多少の変動はあるけれども16年間変わらない。以前は電話帳を見てくる人が多かったが今はネットに替わってしまっている。恐るべしネットの力である。
産経新聞に連載している内科の医師によれば、患者さんで一番多いのは健康診断(人間ドック)だそうであるが、当院は産婦人科という科の性質上若い人が多く健康診断が少ないのはありがたいことである。というのは、健康診断による寿命の伸びが証明されていない現在、健診の一環で来院される人が気の毒だと思うからである。また、老化による変化は緩和することはできても元に戻すことは難しく、そういった患者さんが多いと治せないことのストレスがたまると思われるが、それもない。今年はやや中絶術が増えたが均すと例年どおりで、ピルを求める人は着実に増えている。
今年の最大のトピックは、近藤誠医師の理論が静かな広がりをみせていることである。彼の理論どおりの医療になると、大きく医療の内容が変わると思われる。当院の行っている医療は彼の理論に沿った部分が多く、このままのやり方でいくことができる。ありがたいことである。
いずれにせよ今年一年ありがとうございました。みなさまに感謝。

内診台の入れ替え

平成25年6月7日(金)
木曜日の午後は休診なので、内診台の入れ替えを行った。当院には内診台は2台あり、1台は主に手術に使うので使用頻度はそんなに多くないが、毎日の診療に使う方はさすがに不備が生じてきたので買い替えることにしたのである。
なにしろ250kgの重量なので入れ替えも大変であるがそこはプロ、うまいやり方があるものだと感心していたら新台を入れる時に問題発生。古い台より横幅が3センチ広いためドア(当院は使いやすいように引き戸にしている)を通らないことがわかった。本来は業者があらかじめ調べておくべきなのだろうが気付かなかったのである。仕方がないので当院の内装をしてくれた業者の人に連絡、たまたま近くにいてすぐに来てくれて引き戸をバラして台が通るようにしてくれたので事なきを得た。業者の人が神様に見えた。
木曜日の午後はそれでなくても忙しいのに、こんなことで予測以上の時間をとられるのは困る。歯科にも緊急予約しなければならず(歯が痛いのである)、夜は尺八の練習会がある。結局予定を一つ取りやめて一日を終えた。
今日から新しい台、使い心地はなかなかよさそうである。

バリウムは重い?

平成24年11月30日(金)
当院の患者さん用のトイレは和式と洋式に分かれている。洋式の方は構造上重いものは一旦底に沈んでから流れるようになっている。いつも診療終了後、汚れなどがないか確認することにしているが、その日は便槽の底に白っぽいどうみてもアレのようなものがあるではないか。すぐに水を流してみたが流れてくれない。こんなことは15年間で初めてのことで、スタッフと一緒にそれを除こうと試みたがボロボロとくだけてとれない。何度もくり返し流すが一部残ったままである。理由がわからず専門家に頼むしかないかとあきらめかけたが、人間ドックの子宮がん検診の人が来ていたことを思い出した。ドックの人は消化管の検査でバリウムを飲むことをがあり、色からもバリウム入りの便に違いないと気付いた。ならば重いはずで、もっと勢いをつけて流せば流れるはずだと思い、洗面器に一杯水をいれ試してみたら2回で流れてくれた。やれやれである。
長くやっていれば色々な経験をさせてもらえるものだと思ったことであった。