カテゴリー 本

国民衛生の動向

平成16年11月13日(土)
「国民衛生の動向」という本がある。厚生統計協会から毎年この季節に刊行されるのだがこれが実にすぐれもので、保健医療や生活環境などがよくわかる。たとえば「戦後における平均寿命の推移」という欄をみると、昭和22年の平均寿命は男50,06女53,96で10年後にはそれぞれ63,24と67,06さ らに10年後の昭和42年には68,91と74,15とすばらしい伸びを示している。前回書いた「人生わずか50年」はつい50年前までの話だったのである。ほかに離婚率の国際比較だとか人口動態職業別総覧だとか、よくぞここまでというほどなんでも統計を出している。手元に置いておくと結構便利だ。
土曜日なので夕方5時までであるが結構疲れた。まっすぐ帰ることにする。

食いたい放題

平成16年9月22日(火)
天高く馬肥ゆる秋である。ごはんがおいしい。体重の心配さえなければ飯をぐいぐい食ってみたい。現実には、ごはんにたどりつくまでにビールとつまみで八割方腹一杯になっている。そこで、茶漬けで一杯、漬物で一杯、いくらでも食べたいと思うがもう入らないのが実にくやしい。
色川武大という作家の著書に「食いたい放題」という秀逸な作品があったが、これを読むとこの作家は本当に食べることが好きなのだと思う。そして、その考えに共感する部分が多く、自分も同じ体質だと改めて思う。食いしん坊にとっては昼食は夕食を何にするか考えながら食べるので、その内容もそれによって決ま る。間食などすると夕ごはんが美味しくなくなるので、しない。当然体重が増えるだろうが秋である。美味しく食べられるうちが花だと思っている。

柳原和子著「がん患者学Ⅱ・Ⅲ」

平成16年7月22日(木)
「がん患者学Ⅱ・Ⅲ」を読了。作者の柳原和子氏は医療にも深い関心を持ってきたジャーナリストであるが、自ら母親が発症したのと同じ年(47歳)に母親と同じ卵巣がんになり、それも腹水や胸水がたまりほとんど絶望的な状態からよみがえり、渾身の力をこめて書き上げた作品である。
がんと宣告された時の気持ち、治療を始めてその苦しさと治療効果に一喜一憂する時、また医師との気持ちのつながり、代替医療にはしる思い、他の患者との交流、アメリカではどうなのかなど克明に記している。そしてその時々の心の動きを包み隠さず書いていて、読んでいると患者さんの思いは自分が想像していたのとは違うと感じることが多かった。みんな死と実際に向き合うまでは、そのことを考えずに生きていてそれが自然で健康なのであるが、一旦死が現実のものとなるとうろたえじたばたする。でも、死はすべての人に例外なく訪れる。今までに死んでいったすべての人は、一人一人さまざまな思いを抱えながら逝ったのだろう。
人は病気になった時に治してもらおうと医師にかかる。でも治らない病気もいっぱいある。特にがんは人を絶望的にする病気である。治らない、治る可能性がきわめて低いとわかった時、我々はどうしたらいいのだろうか。この著書で思ったことは、人は希望無しには生きられないということである。たとえ明日死ぬとわかっていても希望がなければならない。絶望的な病気の人に対して、おざなりでない希望を示すことができるのは、強さと深い人間愛がなければならないだろう。本当に難しいことである。著者は最近がんが再発したとあとがきに書いていた。私はただ祈るだけである。