セカンドオピニオン

平成18年10月30日(月)
セカンドオピニオンを求めて来院される人がおられるが、病気に対する考え方をどう説明しようかと迷うことがある。これは医療に対する一般の人の意識と我々医療者の感覚の違いだろうが、自分の場合はそれ以上に違いが大きくて困惑することがある。
たとえば子宮がんの検査で軽度の異型細胞が見られた場合、多くは放置しても正常に戻るが一部は悪性へと進む。悪性に進んだら困るので何度も検査して組織を 調べ、場合によっては円錐切除術を行うこともある。異型細胞が出ても自然に正常に戻る人にとっては意味のないことである。問題はどちらに進むか現代の医学 では見極めがつかないことである。たとえば100人に一人が悪性に進行し、そのほかの人は正常になるとしたら99人にはむだな検査と治療をすることにな る。比率がどのくらいなら許されるのだろうか。
このことは、がんの早期発見・早期治療が本当に生命予後を延ばすことに役立っているのかという、いまだにはっきりとは証明されていないという問題とも共通 して悩むところである。必要のない人にはむだな検査・治療で負担をかけたくないし、放置したことが原因で生命予後が短くなることは絶対にやってはならない し、その見極めのポイントが難しいのである。