知らぬが仏

平成22年6月9日(水)
わが国は地震予知の研究に2,200億円つぎ込んでいるというが、いまだに正確な予測はできないそうである。山本夏彦氏の晩年の著書に「人は明日のことがわからないから枕を高くして眠れるのだ」というエッセイがあるがそのとおりである。もし、未来がすべてわかってしまったら、生きていく楽しみがなくなってしまう。
人間ドックは、自分の体のどこかに異常があるかどうかを調べるために考えられたシステムである。意味がないことは以前から述べているとおりであるが、仮にすべて正確にわかって「あなたは3年先にこれこれの病気になり、これこれの治療をすれば一旦治る。ただし6年後に別の病気になって何月何日に亡くなる」なんてことになったら、何の楽しみがあるだろう。
予測とは突き詰めればそういうことである。やはり山本翁の言うように、知らぬが仏で生きて行くほうがいい。地震予知や人間ドックにお金をつぎ込むのも考えものである。