久しぶりのWEB講演会

令和6年11月22日
愛知医大産婦人科の篠原康一特任教授による講演があった。広島市臨床産婦人科医会の講演会は今回で306回になる。年に5回として60年近く続く講演会である。コロナ禍までは20年くらい世話係をさせていただいていたが、コロナ感染を機会に役職を引かせてもらったので気楽に講演だけを聴けるようになった。
今回は、「子宮筋腫・内膜症患者の術前・術後におけるレルゴリスクの立ち位置」と題して、手術前後の薬の使い分けについて、篠原氏が治療した症例を基にしての講演だった。興味深い話が次々に出て、退屈することなく聞けて良かった。篠原氏は高知出身で高知医大に40歳までいて、愛知に行き今活躍しているそうだが、高知と言えば初めて一人医長で県立安芸病院に赴任したころを思い出す。研修病院ではたくさんの手術は行っていたが、必ず上級医師がいたが単独で帝王切開をしたことはなかった。
高知県の安芸市にある県立病院は産婦人科の定員は3人なのに一人で行かされた。前医と引継ぎが済み、前医が岡山へ帰った翌日の日曜日、病棟へ行ったら妊婦さんの胎児心音が下がっている。帝王切開するしかないが、知り合いの医師はいない。たまたま居合わせた他科の若い医師に前立ち頼み、自分で脊椎麻酔をして無事に帝王切開を終えることができたが、非常に緊張していたことを思い出す。お産の多い病院で、年間480のお産があったが産婦人科医師は自分ひとり、おまけに小児科はなく、週1回だけ高知県立中央病院から小児科医師が健診に来るだけという状況だった。1年半勤務したが前置胎盤を含め無事に勤めることができたことは、その後の大きな宝になったと思う。高知というとそのことを思い出す。