虹の彼方に

令和元年9月27日
上達する見込みのない尺八は一旦中断し、性懲りもなくフルートを始めた。フルートは高校時代に音楽部の後輩に借りて吹いたことがあったが、精巧なメカニズムに圧倒されたけれど音は出しやすいと思った。大学に入った時には軽音楽部に入ってフルートを吹こうと思っていて、軽音楽部の部室をのぞいてみたけれどいつ部室に行っても誰もいない。仕方なく友人のいた男声合唱団に入ったが、ここで歌のうまい先輩の歌う「Over the rainbow」を初めて聞いていい歌だなと思った。合唱団でも歌ったが、それでこの曲が1939年のミュージカル映画「オズの魔法使い」の劇中歌だと知った次第である。
フルートの課題曲にこの曲があり、久しぶりに吹いてみたらはるか昔、多感な時代を思い出して音楽はいいものだと改めて思った。歌詞は、虹の彼方に望みのかなう素晴らしいところがあるというほどのことだが、桂枝雀の創作落語「山のあなた」と共通のところがあり、洋の東西を問わず人の考えることは同じなのだと納得。「山のあなた」はドイツの詩人カール・ブッセの詩を上田敏が日本語に訳して詩集「海潮音」に載せて有名になったのである。

山のあなたの空遠く 「幸い」住むとひとのいふ
噫われひとと尋めゆきて 涙さしぐみかへりきぬ
山のあなたになほ遠く 「幸い」住むとひとのいふ