平成30年10月12日
「婦人科領域におけるロボット手術の現況と展望」と題して東京医科大学産婦人科の西洋孝教授の講演があった。
自分たちが医者になった頃の手術は、術野を見ながらメスやクーパー、鑷子などを使って直接行うものだと思っていたが、30年ぐらい前からお腹を切らずに小さな穴からカメラを入れて中を見ながら、マジックハンドのような器具を使う腹腔鏡手術が始まった。お腹を切ると回復に時間がかかるし痛みも強いので、器具の改良と共にこの方法が主流になってきた。
20年ぐらい前からロボット手術が行われるようになったが、これはロボットを遠隔操作して手術を行うもので、我が国にもダビンチという機械が導入されるようになり徐々に増えている。利点は動きが滑らかで無駄がないことと座って操作できるので疲れないこと、視野がクリアで細かいことがしやすいことなどであるが、問題なのは機械が高額なことと使う器具のコストがかかりすぎるうえに手術時間が長いことである。これらをすべてまとめて考えると今後ダビンチ手術が主流になることはないと思われる。最近の医療費の高額化、特に抗がん剤の異常な値段などを見るにつけ、これ以上医療費を使うと国が立ち行かなくなるのではと心配になる。経済がうまくいってこその医療なので順序を間違えてはいけない。もちろん技術の進歩は必要だけれど。