平成30年2月9日(金)
広島市民病院産婦人科のオープンカンファレンスが開かれ、婦人科主任部長の最終講演があったので参加してきた。まず放射線治療科の松浦寛司主任部長による「知っておいていただきたい放射線治療~子宮頸がんと転移性骨髄圧迫」と題しての講演では、世界と我が国の子宮がんに対する治療法の違いを示し、放射線治療の優れた点などを詳しく説明して実にわかりやすかった。我が国は放射線治療が欧米に比べて遅れていて、手術優先だったのがさすがに少しずつ変わっているようである。
婦人科の野間純主任部長による「当科で行うMinimally Invasive Surgery」と題した講演では、腹腔鏡手術がどのように始まってきたのかという歴史から広島市民病院での手術実績を提示して、従来の開腹手術から体にかかる負担を最小限にする腹腔鏡手術に替わってきている状況を示した。子宮筋腫、卵巣嚢腫、異所性妊娠などに対する腹腔鏡手術は、従来の開腹手術に比べて侵襲の少なさ、回復時間の短縮や美容上の観点からも優れた方法である。子宮頸がんについても同様だが、問題は技術習得が難しいということだろう。子宮頸がんの手術は開腹でも難しい手術であり、腹腔鏡では一層難しい。誰でもできるというわけにいかない。広島市民病院の4800例の腹腔鏡手術件数の蓄積の上に成り立っている技術である。そのエキスパートの野間主任部長が定年で辞めるのは残念なことであるが、この病院のレベルの高さを改めて認識したことである。