平成29年12月23日(金)
最近、緊急避妊ピルを求めて来院される人が多いが、どの程度効果があるかは本当のところよくわからない。ネットなどでは大いに効果があるように書かれているが、実際のところ排卵・受精を少し多めのホルモン内服で確実に防げるとは思われない。50~80%は有効と言われているが、毎日飲む低用量ピルの有効率99%と比べれば失敗率は高い。フランスで開発されたRU486ならほぼ完全に着床を防ぐけれど我が国には入っていない。
何もしない場合、どのくらい妊娠するのか考えてみよう。簡便のため女性の生理周期を28日として、月経期間を7日間とすると妊娠可能期間は21日となる。この期間のうち妊娠する確率が高いのは排卵日とその前の7日間で、実際には5日くらいである。その5日間以外では妊娠しないわけだから75%は妊娠しないことになる。ところで妊娠率の最も高いと言われている排卵日にセックスした場合でも妊娠率は30~40%である。多めに見積もって5日間すべて30~40%の妊娠率として計算しても、21日間で考えれば妊娠率は7,5%~10%になるので10人のうち9人は薬を飲む必要がないことになる。だから緊急避妊ピルを飲んだから防げたと思っている人の中には、飲まなくても妊娠していない人も多いと思われる。安易な処方は慎まなければならない。