初期の桂枝雀

平成25年9月19日(木)
相変わらず桂枝雀のCDを聞いているが最近、初期の頃の音源を入手したので聞き比べている。枝雀25歳から全国的に有名になった40歳までのNHKラジオアーカイブスからの音源20席である。25歳の頃はまだ前座で「小米」と呼ばれていたが、話は流暢で教科書に載せたいような完璧な落語である。習った通りに正確できちんとした、いわば楷書の落語である。わずか入門5年目とは思えない出来で、これなら真打ち昇進が早いのもうなずける。その後の語り口の変遷は周知のことであるが、やはりきちんとした基礎があってこその変化であろう。周囲の人たちは「枝雀は化ける」と言っていたそうだがその通り大化けして全国的な人気者になった。
枝雀のもう一つの魅力は「まくら」が面白いことである。「まくら」とは落語の話に入る前にする短い話で、いわば導入であるが、独特の視点と語り口で面白く、彼のまくらを楽しみにしているファンは多かったようだ。昔から名人上手は多いが、やはり枝雀の落語は何度聞いても飽きない面白さがある。