いい本だと思ったらすぐに買う

平成16年8月25日(水)
あの時あの本を買っておけばよかったと思うことがある。本が発売されている時はいつでも買えると思っているうちに、いつのまにか絶版となりいくら探しても入手できなくなるのだ。
欲しくなるのは自分の中で再評価された本であり、発売当時はそれほどいいと思わなかったのが次第に読みたくなって探すが、もうないのである。たとえば、1980年代 に学習研究社から出版された「山本七平対話集」。全部で10巻以上あったと思うのだが、1巻だけ買ってあとはいつでも買えると思っているうちに絶版となっ た。今読んでも当時の旬の人達との対話が面白く、ひとかどの人物は時代を超えて素晴らしいと思う反面、後になって評価に値しないことがわかった人物もいて面白い。
半村良の「太陽の世界」も確か18巻まで発売ごとに第1刷本を買っていたのだが、やや冗長になった感じがありやめていたらいつのまにか絶版になっていた。もっとも調べてみたら18巻までしかなく、未完のままだそうなのでいつかは続きが出るだろうと思っていたら、作者が亡くなってしまった。もともとストー リーテラーとしてすばらしい作品を多く書いており、「太陽の世界」は全100巻の構想であったというから期待していたのだが。
1970年頃に「サラリーマン丸儲け自伝」を書いた岡部寛之の本も、見当たらない。人生を徹底的に合理的に生きて、株でひと財産つくり株指南の本など多くの著書があったがどうなったのだろう。「70歳を過ぎたらヨーロッパなどに放浪の旅に出て、そのまま野垂れ死にするつもりである」と書いていたからそうなっているのかもしれない。なにしろ生きていれば90近いはずである。
他にも欲しかった本がなくなった経験から、今は欲しいと思ったらできるだけ躊躇せずに買うようにしている。おかげで本の置き場所に苦労する。