平成24年3月8日(木)
新しい緊急避妊ピル(ノルレボ錠)がわが国で承認・発売されて6カ月を過ぎた。聞くところによるとあまり普及してないようで、原因はその値段が高すぎるせいだという。1回分が1万円である。これは製薬会社の卸値であり、これに診察料などが加わると1万5千円ぐらいになり、なぜこんな法外な値段を厚労省・製薬会社(外資系)が決めたのか納得いかない。フランスではノルレボ錠が薬局で売られていて、3,500円ぐらいだそうである。ということは卸値では2~3000円であろう。わが国の卸値1万円はどう考えてもおかしい。
従来の緊急避妊の方法は、中容量ピル(プラノバール)を2錠飲み、12時間後にもう2錠飲むYuzpe法であるが、避妊率はノルレボ錠とほぼ同じである。こちらの値段ははるかに安く、この値段でメーカーは利益があるのかと思うくらいである。いずれにしても私としては法外な値段のノルレボ錠を勧める気はなく、従来のYuzpe法を勧めている。ただ、問題なのはこの方法だと吐き気を訴えることがあり、そのためにノルレボ錠が開発されたのである。もちろん従来の方法でなんともない人も多いので、私としては当分従来の方法を勧めるつもりである。
排卵時に性交した場合の1回の妊娠率は約30%で、緊急避妊ピルの妊娠阻止率は約80%なので、ざっと5~6%は緊急避妊薬を飲んでも妊娠する可能性がある。毎日飲むピルの場合の妊娠率は0,1%で、これがどんなに優れているかわかるだろう。避妊には毎日飲むピルを勧めるものである。