平成21年7月8日(水)
大学教授で思想家の内田樹氏が新潮45に、「日本語は学術論文であれ法律の文であれ、英語やフランス語を使わずに的確に表現できる多様さと高い質を持った稀有な言葉だ」と書いている。
たしかに日本語は、主に漢字の単語と、ひらがなで表す助詞を使った地の文から成っていて、かつては中国からとりいれた漢文を見事に日本語に翻訳して使いこなしていた。現代では英語がその立場に置き換えられたが、英語と漢文は語順がほぼ同じなので、日本語の地の文はそのままで単語を漢語から英語に置き換えればいいのでスムーズに取り入れられたのである。
そのおかげで、江戸時代末期に黒船や欧州の国々がやってきても、言葉を守ることができたのだという。言葉を継続させることは歴史を継続させることで、故山本夏彦翁が看破していた「日本とは日本語のことである」は至言だと思う。