児玉清氏と逸見正孝氏

平成23年5月20日(金)
パネルクイズ25の司会でおなじみの児玉清氏が亡くなった。一視聴者としてご冥福をお祈り申し上げる。
テレビや新聞の報道によると、昨年12月頃胃の不調があったが、胃カメラなどが嫌いで病院へ行かず今年の3月に胃がんの末期とわかり入院していたが、先日安らかに亡くなられたという。治療は抗がん剤を投与しかけたが副作用が強くて中止し、亡くなられる4日前まで普通に寝起きされていたそうである。
昔からこれらの死に至る病は「老衰」と言われることが多かったが、現代は検査法が充実してきたので正しい病名がわかるようになった。そして手術や抗がん剤の投与など徹底的に治療されるようになった。それでも亡くなる時は何をしてもだめなのである。その場合は病の苦しさに加えて、治療による痛みや苦しみが加わる。患者さんは治療が役に立つと思うからその苦しみに耐えて治療を受けるのである。
治らないのなら、痛みや苦しさをできるだけ緩和するようにして、やすらかに逝かせてあげるのが医療者の務めではなかろうか。そして治るか治らないかはベテランの医療者ならほぼわかるはずである。
かつてアナウンサーの逸見政孝氏が同じ胃がんで亡くなられた時の気の毒さに対しては、医療者は心底反省すべきである。入院前日まで仕事をされていたが、入院・手術・抗がん剤で苦しんだ末に一度も退院することなく亡くなられた。入院中「こんなに痛い思いをしたことは生まれて初めてだ」と言われていたそうである。