令和7年9月5日
表題は池波正太郎氏の著作で、昭和52年発刊された。その後文庫化されて現在64刷になっている超ロングセラーである。池波氏の著作は鬼平犯科帳をはじめ、いまだに本屋の棚にはそろっていて、氏の死後35年経っているのに売れ続けているのはすごいことである。ベストセラー作家でも死後売れ続けるのはほんの一握りである。
内容は、氏の日常よく訪れる食べ物屋を記したものであるが、どれも食べてみたいと思わせる筆力で、店のあるじとのかかわりもさりげなく書いていて、心地よく読める。さらにコロナブックスからグラビアにしてそれらの食べ物屋を紹介した本も出ている。神田、浅草、銀座、渋谷、目黒などの店と写真、氏のエッセイを載せている。現在も残っている店もあればなくなった店もある。氏の「生きることは食べることだ」を感じさせるエッセイと共にこれらを見れば、自分がそれらの店に行っているように思える。
氏のファンの中には、本当に店をすべて回った人もいるという。そのような思いをさせる力のある作品である。