「脳は耳で感動する」

令和7年4月4日
表題は養老孟司氏と久石譲氏の対談集である。ヒトは音楽をどのようにとらえ、認識しているかを解剖学者の立場から、音楽家の立場から伝えあっての対談は実に面白い。脳内の言葉を認識する部位と音を認識する部位の違いなどを養老氏が説明し久石氏が納得する。久石氏から見れば養老氏は頭に大きな図書館をつけていて、その魅力的なバリトンヴォイスで氏の知りたかったことを的確な言葉で教えてくれることを喜び、養老氏は筋の通った久石氏の言葉を聞いているとよい音楽を聴いているような気持になり、音楽と言葉が深いところで連結しているということを話しながら実感したという。
久石氏は映画音楽を手掛けていて、映像は1秒で24コマまわるが音楽を映像にぴったり合わせて作ると音の方が早く聞こえるそうである。だから音の方を映像より3コマか4コマ遅らせるという。それで映像と音楽がしっくり合うのだ。
それについて養老氏は視覚と聴覚は処理時間がズレるからだと解説する。それは脳のシナプスの数の問題で、神経細胞の伝達が視覚系と聴覚系で違うからだという。生き物になぜ耳と目があるかというと、それぞれ違うものを捕まえるためで、それを頭の中で一緒にしようとするのが人間だという。
そうだったのかと思わせてくれる面白い対談集だった。