「人生を変えたコント」

令和7年2月13日
表題は霜降り明星せいやの著作である。本屋で見かけた時には手に取ることもなかったのだが、週刊新潮の書評欄で内容を紹介していたので読んでみる気になった。
霜降り明星は2,017年ABCグランプリで優勝、2,018年R-1グランプリで史上初のコンビ揃って決勝出場を果たす。2,018年末のM-1グランプリでは番組史上最年少で優勝を果たし、テレビ・ラジオなど活動の場を広げている。相方の粗品が突っ込み、せいやがボケの漫才グループである。
中学時代は生徒会長で屈託のないお笑い少年だったせいやが、高校入学してすぐにいじめにあい、ストレスで頭も眉毛もハゲになりながらも学校に通った。突破口は全クラスで行う「文芸祭」だった。1学年8組全校で24組が親や関係者も出席する舞台で出し物をする。すべて生徒が考えて行うこの会で、せいやは日ごろから考えているギャグをふんだんに取り入れて作り、クラスでプレゼンを行い、いじめグループからの反発を乗り越えて自分の劇を行うことになった。その後も様々な陰湿ないじめがあったが、クラスの大半はせいやを支持してくれて熱心に練習して本番が始まった。せいやのクラスの出し物はうけにうけ、ドッカンドッカンの笑いが続き大歓声のうちに終わった。毎年3組が表彰されるのだが、なんと1年のせいやの組が最優秀賞に輝いたのだった。いじめグループも分裂してすっかり影をひそめてしまい、せいやはその後楽しい高校生活を送ることができた。その経験をいつか皆に伝えたいと思い、今回の出版になったのである。それにしても半端ないいじめをよく跳ね返したものだと思う。