藤田紘一郎著「人の命は腸が9割」

平成26年9月11日(木)
著者は、寄生虫体内のアレルゲン発見で小泉賞を受賞した東京医科歯科大名誉教授で、サナダ虫の「ハナコ」ちゃんを自らの腸内に寄生させてみたり話題の多い人であるが、一貫して表題の内容を主張している。
生物は栄養を吸収する腸を中心として発達してきており、脳は後付けの器官であるからヒトの体の司令塔は「脳」ではなく「腸」に置くべきだという説はそのとおりだと思う。ヒトの体は60兆個の細胞からできているが、腸内には2万種1000兆個もの細菌が住み着いていて、いわば生命共同体というべきものである。これらの菌が免疫システムを支え、働きを活性化しているのである。生後1年間で腸内細菌の組成がほぼ決定するといわれているが、この時期に「はいはい」していろいろなものを舐めない赤ちゃんは、免疫力が弱くなるという。
腸から健康になる方法として「食事の初めに小皿1杯のキャベツを食べる」「ネバネバ食品をたくさん食べる」「週に2~3回ステーキ(肉)を食べる」などは、わりと簡単にできそうである。広島大学の元学長、原田先生の話題もあり面白く読ませてもらった。