平成25年11月8日(金)
表題は緩和医療医、大津秀一氏の著書である。氏は千人を超える人たちの緩和医療に携わってきた経験から、終末の医療について述べている。人は必ず死ぬので、最期を迎える時にどうしたら後悔しなくてすむのか、病気ごとにわかりやすく説いている。一貫した主張は「ほとんどの病気には治療が効かない段階が来る、そこからの苦しいだけの延命治療は控えて、自分のため家族のための最後の時間は大切にすべき」と説く。
氏はやすらかな最期が迎えられるように本人、家族と真剣に話し合い方法を探る。一人ひとり状態が異なるわけだから、それぞれの解決策は異なるわけである。じつに考えさせられる内容である。確かに自分たちもいずれ必ず死ぬのだから、日頃からどのようにするか考えておくことは必須である。そのための参考書としてすぐれた本だと思う。尤も氏の本音だと思われるが、「自分の理想とする死に方は、平均年齢まで生きて普段から皆に、ありがとうな、おじいちゃんはそのうち死ぬから後は頼むな、と言い含めある夜心疾患で寝ている間に苦しまず亡くなる」というものだが、これは宝くじに当たるぐらい難しいだろう。