平成19年11月5日(月)
諏訪マタニティークリニックの根津八紘医師は、病気などで子宮を失った女性の借り腹出産の手助けをしたと公表した。それに対して、産婦人科学会と弁護士会から非難の決議が出された。その理由は生まれてくる子供の福祉に責任が持てないことと、替わりに産む女性の健康不安があるからだという。
笑止の沙汰である。
医師の使命は目の前の苦しんでいる人を癒すことである。病気などで子宮を失ったが本人の卵子はあり、替わりに出産してもいいという女性がいて医学的にその技術があるなら、いったい誰がその希望を止められるというのか。今も生まれている子供たちすべての福祉を保証できる人などいないし、妊婦さんが100%安全などとだれも保証できないけれど、日々出産は行われている。医療はなべて個人的なことであり、犯罪でない限り納得しあって良識に基づいて行うべきである。当事者でもないのにえらそうに非難の決議を出すべきではない。その点、根津医師の真のヒューマニズムに裏打ちされた勇気ある行動には、心から敬意を表するし、こういう人がいるということはまだまだ人間も捨てたものではないという意を強くする。
無論、産まないという選択をするのも自由であるが、産みたいと思う人の希望を妨げるべきでない。もし、その過程でなんらかの不備がおこったらその時点で検討すればよいのである。親子関係にしてもDNAによる親子鑑定ができる世の中になったのだから、法律もそれに合わせて変えるべきでいつまでも過去の判例にしがみついてはいけない。司法の目的は人々の幸福のためではなかったのか。