病腎移植

平成18年11月8日(水)
このところ腎移植の問題で連日報道が行われている。宇和島の医師が病気により摘出した腎臓を透析患者に移植していたことが明るみになったからである。移植していた医師は正しいと信じて行っていたようで議論が湧き起こっている。
現在わが国では臓器移植はドナー不足のためわずかしか行われていない。一方移植を待つ人はどんどん増えている。日本移植学会に属している医師ならその倫理 規定に従わねばならず、なかなか移植できない。いま報道されている医師は学会に属しておらず、したがって会告に従う必要もないので多くの移植を手がけるこ とができたのである。グレイゾーンの移植もあったようで、どちらがよいのか難しい問題である。
手塚治の名作「ブラックジャック」はこの問題を主題にした作品である。目の前に苦しんでいる人がいる。自分はその人を助ける技術を持っていて、設備もそ ろっている。当事者同士の承諾がある。でも残念なことに彼は医師免許を持っていない。法を犯しても助けるべきなのか。作者はこの主題を単純な人道的問題だ けにせず金銭をからませたところが天才的である。
もちろん今回の問題は医師法違反などではなく倫理規定の問題であるが、永遠の課題であるのかもしれない。