里見真三著「すきやばし次郎旬を握る」

平成17年12月17日(土)
今日は雪混じりの寒い日で道行く人も寒そうである。
若い頃は肉が好きで魚よりも肉、特に牛肉に対しては憧れに似た想いがあった。ところが次第に肉よりも魚が美味しいと思うようになり、今では鮨が大好物になってしまった。
今、手元に一冊の本がある。里見真三著の「すきやばし次郎 旬を握る」という江戸前鮨、日本の鮨のバイブルのような本であるが、内容がすばらしく何度読ん でも飽きない。現代の名工に選ばれた稀代の鮨職人である小野二郎の話と仕事ぶりを、今は故人となった食の評論家の著者がたっぷりの写真を使って紹介してい る、全国の鮨屋がこっそり買って読んでいるといわれている名著である。これを読むと魚介類の選び方捌き方、一貫の鮨になるまでどれくらい手がかかるかがわ かって、あらためて日本の職人芸のすごさを感じるのである。美味しい鮨が高価なのは仕方がないとも思ってしまう。このような繊細な和食の文化は世界中でも 稀なのではなかろうか。これを書いていると鮨が食べたくなってしまった。