才能と努力

平成17年6月29日(水)
才能と努力の二つを兼ね備えた人物はどの分野にもいて、世のため人のためになり世に知られるようになる。しかし、世の中の多くの人は両方ともないか、片方 だけしかもそれほど傑出していないのが普通である。努力は才能のない我々凡人には最も大切なことで、努力しなければろくなことにならないのは世人の認める ところである。
一方、才能に関しては生まれつきのもので努力だけではどうしようもないものが多い。たとえばスポーツなどでははっきりしていて、百メートルを早く走れる人 は最初から早いのであり、練習したから16秒かかっていたのが11秒になるわけではない。せいぜい2秒早くなる程度だろう。音楽の才能もやはり天賦のもの で、楽器の演奏などはうまい人は初めからうまい上に、一層努力するからさらに技術に磨きがかかる。才能があるから努力できるわけで、もし全然なければはじ めから努力しようという発想がないだろう。
なぜこんなことを云うかというと、尺八がうまくならないからである。少し音が出るようになったと感じたのは幻想であったことに気付いてしまったのだ。師匠 の主催するおさらい会の課題曲「六段」を琴と合わせて練習したのだが、録音した音を聞いてがっくりきた。琴はすばらしいのだが、尺八のひどいこと。そもそ も音が出ていない。もともと音そのものを出すのが難しい楽器ではあるのだが、それにしてもである。こういうのは努力だけではどうしようもないのだろうか。