枝雀十八番

平成31年4月12日
最近、しばらく遠ざかっていた桂枝雀の落語にはまっている。前にはまった時にそろえたDVD、CDがごっそりあるが、その中で表題の9枚組のDVDをあらためて見ていると実に面白い。これは枝雀の人気が絶頂を迎える頃の映像で、18話の落語を収録していて他のCDとかぶる内容もあるのだけれどユニークなのは、落語作家の小佐田定雄氏が枝雀の弟子と共に映像を見ながらおしゃべりしているバージョンがあることだ。小佐田氏はずっと上方落語に寄り添って生きてきた人で、枝雀のファンであり新作落語を提供したりで深くかかわってきただけに、弟子と共にいろいろなエピソードを紹介しているのが面白く、枝雀がいっそう身近に感じられる。
桂枝雀の落語のCD・DVDが氏の死後20年以上経つのにいまだに売れ続けているのは、すごいことである。上方古典落語を極めた氏の話芸は他の追随を許さないほどで、何度聞いても隅々まで気を配って作り上げた話には飽きが来ない。晩年近くになると一層凄みを増していて、鬱病さえなければ今も我々を楽しませてくれているに違いない。残念である。