子宮内膜症(検査)

子宮内膜症は生理の周期に応じて変化する子宮内膜が、本来の場所とは違う所にできてそのため、生理の時期に一致して痛みが強くなったり、癒着がおこって不妊の原因になったりする厄介 な病気です。20代~30代から発症して、徐々に進行します。妊娠するとかなり良くなり,妊娠が最良の治療法です。卵巣の機能が低下する更年期以降になると自然に治ります。

問題は、妊娠の予定がなく痛みが強い場合にどのように治療するかです。対症療法から手術までいくつかの方法があります。

診断

診断で大切なことは、生理痛が強いかどうかです。

以前、腹腔鏡検査を予定している人に20項目ぐらいのアンケートを行い、検査後に子宮内膜症と確定診断がついた場合とそうでなかった場合のアンケートの内容を解析した結果、患者さんの訴えで有意差がでた訴えは「生理痛が強い」のみでした。経膣超音波検査による子宮、卵巣、卵管、ダグラス窩の状態の確認と内診所見、血液のCA125値によって診断します。さらにMRI検査を行う場合もあります。これらでほとんど診断はつきますが、最終診断は腹腔鏡によります。腹腔鏡検査(治療)は入院が必要など負担がありますから、治療を兼ねて行う場合に行われることが一般的です。

検査でどんなに内膜症らしくても、腹腔鏡検査で否定されることがありますから診断は慎重におこなわれなければなりません。

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子宮内膜症(治療)

治療は対症療法が中心となりますが、効果がない場合は手術になることもあります。ただ、最も自然な治療法は妊娠だと思ってください。また、閉経ですべて治ります。

  1. 鎮痛剤:一般的によく使われていますが、痛みをおさえるだけです。副作用に注意しましょう。
  2. GnRHアゴニスト:卵巣からのホルモンレベルを閉経に近い状態にすることで、生理を止めて内膜症組織を萎縮させる方法。合理的な治療法ですが、欠点は副作用でほてりなどの更年期症状がおこったり、長く使うと骨がもろくなる可能性があるので、6ヶ月以上使えない、薬の値段が高いことなどです。
  3. 低用量ピル:ピルを飲んでいると排卵がおこりにくくなり、ホルモンレベルも下がります。子宮内膜の働きはホルモンレベルと一致しますから、症状はかなり改善します。使い易くて安全性は高いです。欠点は保険適応がないため実費で買わなければならないことですが、それでも安いと思います。
  4. アルコール固定:卵巣にできた内膜症は、チョコレート色の血液の入った嚢腫をつくります。これをチョコレート嚢腫といいます。大きくなると、痛みなどの症状が強くなり、破裂する危険性もありますから、体外より針を刺してなかの血液を抜き、アルコールで洗浄することで再発を防ぐ治療法です。
  5. 手術療法:以上の方法でも効果がなく、治療が必要な場合に行います。今は主に腹腔鏡による手術が中心です。特に不妊と重なっている場合は、卵管の治療の必要性から行われることが多いです。

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