性病
クラミジア感染症
女性の性感染症の中で最も多く、10代20代で多くみられます。性行為によりクラミジアトラコマティスという病原体がのどや膣に入り、感染します。症状は無症状の場合も多く、症状がある場合はの どの痛みやおりものの増加、下腹痛などがおこります。治療は抗生物質の内服です。
この病気は近年増加したといわれていますが、私の見るところでは検査法の進歩のために簡便に正確に発見できるようになって,見かけ上増えたこともあるのではないかと思います。
淋病
淋菌によっておこり、男性の場合は排尿痛や膿が出るなど症状が強くわかりやすいのですが、女性ではあまり症状が出ないことがありますから、パートナーに症状があれば要注意です。膣 以外に も直腸や尿道、のどにも感染します。治療は抗生物質で行いますが、薬の効きにくい菌が増えてきているので治るのに時間がかかることがあります。
尖圭コンジローマ
HPVというウイルスによってできる「イボ」です。主に外陰部にできますが、膣内や肛門その他にもできます。あまり症状はありませんが、違和感などを感じることもあります。
治療は電気メスやレーザーによる切除や焼灼、ポドフィリン塗布、液体窒素による冷凍凝固、ベセルナクリームなどがありますが、ポドフィリン塗布は優れた方法と思います。
性器ヘルペス
単純ヘルペスウイルスの感染により、潜伏期間3~7日後におこります。外陰部を中心に違和感がおこり、水疱ができ、ついで水疱が破れて潰瘍になり強く痛みます。発熱がおこり、か ぜのような症状がおこることもあります。一旦発病すると治るまでに約3週間かかります。治療は抗ウイルス剤の投与、鎮痛剤による痛みの緩和ですが、あまり有効な方法はありません。3週間経てば 必ず治りますからいつも「日にち薬です」とお話しています。再発することは多いのですが 、症状は初めの時よりはるかに軽く、徐々に再発しなくなります。分娩前に再発した場合、帝王切開になるこ とがあります。
梅毒・エイズ
梅毒は以前は問題になっていましたが、近年はあまり見られなくなりました。特に、妊娠の際に行う血液検査と、手術の前に行う検査で必ず行うようになって、妊婦さんの頻度がわかって きましたが、多くみられるものではありません。
エイズも最近では妊娠の際に検査する施設が多くなって、実態がわかります。届け出では増えていますが、元の数が他国と異なりはるかに少なく、恐れさせられた割には大丈夫のようで、我が国は性的 には本当におとなしくてよかったと思います。忘れてならないのは薬害エイズです。これは我々医療人にとっていくら反省してもしたりない問題です。
おりもの・かゆみなど
おりものやかゆみを主訴に来院されるケースは非常に多く、よくみられることです。
おりものは、剥離した膣粘膜、頚管粘液、分泌腺からの液、水分などからなります。膣粘膜に含まれている糖が膣内桿菌により乳酸となり、膣内を酸性にしています。これらは体調や性周期などにより変化 しますが、細菌やカビ類その他で炎症をおこすと、かゆみ、痛み、臭いなど不快な症状がおこります。
においなどの不快な症状でよくみられるものに、細菌性膣症があります。これは抵抗力の低下などで膣内の常在菌の変化がおこり、臭いをだす変化をおこす菌が増えたためにおこる状態です。これらの症状は体調により変化しますから、なにもしなくても自然に治る場合もあります。症状が強かったり、治らなかったり、性病などの心配があれば受診してください。
生理不順・生理痛
生理痛と生理不順は全く異なるものですが、これを訴える人が多いのでまとめて記載します。
- 生理痛は、分泌相となった子宮内膜組織がはがれて排出される時におこる子宮収縮の痛みで、子宮筋腫や子宮内膜症などの器質的疾患があるために起こっている場合と、器質的疾患がなくても起こる文 字どおり「生理痛」があります。
子宮筋腫や子宮内膜症がある場合は、なんらかの治療が必要になります。痛みを抑えるだけなら鎮痛剤が使いやすいのですが、対症療法なので症状の進行はおさえられ ません。手術かホルモンレベルを下げる治療がおこなわれていますが、完全というわけではありません。なかなか良い方法がないのが困ります。
器質的疾患のない生理痛は若い女性に多くみられ、鎮痛剤により改善します。ただしこれは対症療法なので、生理の量を減らし痛みをとるという意味で、低用量ピルがおすすめです。低用量ピルは非常 に安全で使いやすく、子宮内膜症にも良いのです。 - 生理不順を訴える人は多いのですが、実際に治療が必要なケースはむしろ少ないです。もともと排卵が遅れやすい卵巣(PCOタイプの人が多い)では、ストレスなどでも無排卵になることがあります。治 療を要する場合(詳細は省略)を除いて、多くの場合経過観察で問題ありません。ただ、不正出血が不快だったり生理不順に対する不安感の強い人には、低用量ピルをすすめることもあります。
子宮がん検診
子宮がんは子宮の下部にできる子宮頚がんと、子宮の奥にできる子宮体がんがあります。
以前は子宮頚がんが多く、約90%を占めていましたが、最近では子宮体がんの割合が増え、頚がんが60%、体がんが40%になっています。
子宮頚がんは、HPVというウイルスの感染からおこるという説が一般的になっています。検査は子宮頸部から細胞を採取して調べます。
痛みもなく簡単にできますから気軽に受診してください。
子宮体がんは子宮の奥から細胞を採るので、軽い痛みや出血がおこることがあります。子宮内膜を経膣超音波検査で観察して、厚みが正常で内膜の乱れなどがない場合はあえて検査しないこともあります。
更年期について
閉経の年齢は平均50,5歳で、その前後5年ずつ、つまりほとんどの人が45歳から55歳までに閉経になるこの時期を更年期といいます。
更年期には卵巣の機能が衰えるため、卵巣を刺激するホルモンが増 え、卵巣の働きが過剰になったり、弱くなったり変動します。このため月経の量や周期が不安定となり、自律神経の特に血管運動神経の失調がおこり、のぼせ、動悸、発汗などの症状がおこります。
この時期は体も使い痛みが出る頃で、腰痛、肩こり、視力の低下などがみられます。くわえて、子供がひとり立ちする頃でもあり、うつの傾向がでやすくなります。
これらはすべて老化に伴う症状が中心なのですが、ホルモンについてはこれを補えばもとに戻ります。うつには安定剤や抗不安薬、抗うつ薬などを使いますが、まず気分転換を図りましょう。
腰痛や肩こりなどは無 理をせず安静にして痛みが治まってきたら、少しずつ鍛えて長持ちするようにしましょう。
メンタルケア
「病は気から」ということわざがありますが、古来、精神と肉体は切っても切りはなせない関係で、どちらもきわめて大切です。
精神科以外ではどうしても身体症状を中心に対処しますが、身体症状の中に精神的な 問題が隠れていることがしばしばみられます。
これをいかに察するかが我々の仕事でもあり重要なことです。
ゆっくり話を聞く時間をとり、精神的なケアをはかっています。
必要あれば精神科に紹介するこ ともあります。
子宮筋腫
子宮筋腫は成人女性によくみられる良性の疾患で、診断には経膣超音波が有用です。
筋腫の大きさ・発生部位によって症状が異なります。
筋腫があっても特に症状がなければ経過観察でよいのですが、子宮の内腔近くにある粘膜下筋腫は生理痛や過多月経などの症状が強く、治療が必要になります。
貧血があれば造血剤を使用しますが、過多月経があるのでそれを治さないと再度貧血になります。
そこで、ホルモンレベルを下げることで経血量を減らし、筋腫の増大を防ぎます。
低用量ピルが有効ですが、症状が強く効果がない場合は生理を止める注射をします。
それでも症状が改善しない場合は手術になる場合もあります。
乳がん検診
普段から月に1回、乳房が張っていない時期に自己チェックを行うことが大切です。
入浴時に石鹸をつけて直接手で押さえるようにして調べ(洗い)ます。自分でさわった乳房の感覚を覚えておいて、いつもと違うと感じたら受診しましょう。
検診には触診、超音波検査、マンモグラフィー、細胞診、組織検査などがありますが、当院では触診と超音波検査を行っています。