子宮内膜症と不妊症

平成30年7月20日
東京女子医大産婦人科・熊切順教授の表題の講演があった。月経困難症の治療薬としてのLEP製剤を発売している製薬会社の後援だったため、講演に先立ち別の講師によるインターネット講演もあった。子宮内膜症に対するLEP製剤の有効性は今では常識となっているが、20年前に我が国でやっと低用量ピルが認められた頃には健康保険制度のしばりもあって、あまり使われていなかった。自分のクリニックでは最初から子宮内膜症のファーストチョイスの薬として使ってもらっていた。特に1相性のピルを、当時は認証されていなかった連続使用が有効であると積極的に薦めていた。20年経ってやっと連続内服の方が有効だと言い出して、連続内服のLEP製剤が発売されている。理屈から考えればわかりそうなものだが遅すぎる。はじめからそうしておけば、どれだけの患者さんが楽になったことか。
熊切教授のあざやかな腹腔鏡手術のビデオを供覧したが、薬物療法だけでは難しい内膜症も多数存在していて、これらには教授のようなエキスパートの手術が必要である。子宮内膜症と不妊症は最も大きなテーマであるが、簡単に解決される問題ではなく、長い地道な努力が続けられている。自分としてはピルを含めたLEP製剤の普及に努めていきたい。