妊娠中の風邪

平成16年4月25日(日)
今日は日曜なので本来は休診なのだが、広島市の産婦人科当番医のため開院した。当番医は各科の開業医が休日診療を順番に行うもので、半年に一度まわってくる。いつもどんな急を要する患者さんが来るかとてぐすねひいているのだが、ごく普通の患者さんばかりで、ほっとするような、拍子抜けするような。産婦人科で最も多い緊急を要するのは妊娠・お産関係で、何か起こればお産を予定している病院へ行くだろうから当番医の所へは来ないのだろう。
実際妊娠中にはさまざまな心配があるようで、電話相談などもよくある。妊娠初期なら出血の心配が多い。あとは風邪をひいたので薬をどうしたらいいかの問い合わせも。出血については色々な場合があるので、状態によっては受診を勧めることが多いが、風邪についてはひどくないかぎり、「あったかくして安静にしてください」という。知り合いの内科の先生は「風邪?寝ときゃあ治る」とおっしゃる。私も全くそのとおりだと思う。オランダなどでは風邪をひいて受診しても、熱があれば家で冷やして様子を見て3日たってもよくならなければ来院するように話して薬も出さないそうである。日本人は薬好きの人が多く、風邪でも薬を出さなかったら、もう来てくれなくなると聞く。また、妊娠初期は薬の副作用も気になり、風邪も心配だが薬も心配だという人が多いのである。でも風邪をひいたからといって胎児に影響があるわけではなく、(ウイルスによる影響があるとしたら感染した時点で影響がありどうしようもなく、薬を使うのは有害無益である)まさに「寝ときゃあなおる」と言いたいのだが、そう言ってしまうと身もふたもないので同じようなことをやんわりと言う。もっとも、どうしても薬が欲しいという人には、さからわずに薬を処方する。開業医は患者さんのニーズを優先するのだ。
そうこうするうちに夕方6時になり、休日診療は終わりとなった。明日は月曜日でいつもと同じ診療日だ。早く帰ってビールを飲もう。